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離婚:オーバーローン不動産の財産分与 と 雑感

離婚の際には、夫婦が婚姻の共同生活中に取得・形成・維持した財産は、いわゆる「財産分与」として、夫婦で分け合うというのが通例になっています。
分割の割合については、諸説あるようですが、例の年金分割制度の3号分割が割合50%でフィックスされていることを見ると、今日では、きっちり半分づつにするというのが、社会通念と考えてよいかもしれません。

問題は、オーバーローン不動産(住宅ローンがたくさん残っているために、仮に売却しても、諸費用を控除するとプラスの財産として残らず、負債だけが残ってしまう物件)がある場合に、どのように分割すべきかという点です。

実は、このケースについて、WEB上の検索語「離婚、オーバーローン不動産、財産分与」で上位10件に出てくるサイトの内容ですら、かなり不正確なものが混ざっています。おおむね30位くらいまでのサイトは全部読んでみましたが、見事に書いてあることが濃淡ばらばらで、もっぱら勘と経験と請け売りで書いているようなサイトばかりが目立ちます。

2014-07-25修正)上記のように書いた後、最近再検索してみると状況はかなり改善されました。が、実務・裁判例・理論を基本にさかのぼって記述している決定版的なサイトはいまだ現れていないように思えます。私がそれをやるのは、荷が重いなあと考えているところではありますが。。。

そんな中、おそらく(2013年7月時点の)WEB情報中で最も正確に記述されていると考えられる資料を見つけました。駄情報に埋もれてしまうのが惜しいので、勝手に紹介させていただきます。

これです。名古屋の外堀法律事務所弁護士馬場陽先生が書かれています。すばらしい内容と思いました。いろいろなサイトを見て、惑わされているプロ・セミプロの皆さんは是非参考にしてみてください(完全な素人の方は駄情報との違いが識別できないかもしれません)。

ところで、ちょっと話は飛びますが、、、

やはり法律の専門家を名乗る以上は、法論理に基づいて法社会学的見地も考慮した自由かつ独立した思考に基づいて、実務的な判断をやっていくべきだと思うのですが、最近どうにも、裁判官ですら、前例がないだの参考判例をもってこいだの、アホなことをいう方々が増えているようで、情けない限りです。

前例がなければ、法理論に抵触しない限り、創造すればいいんです。そうして上級審や訴訟当事者からもまれて、消えてゆくか、確たる前例第一号になるか、それは法論理と社会がそれを受け入れるかどうかにかかっているわけで、そういうダイナミックな動きに名誉をかけて関わるからこそ、法律家と名乗れるのではないでしょうか。

単に依頼者の言い分をお上に申し述べるだけなら、江戸時代の公事師と変わらないし、前例がないから判決を書けないのであれば、裁判官はデータベースに置き換えてしまえば足りることになってしまいます。

あー、ちょっとキーが滑りました。。。
最近思うことでした。

以上。

2015.5.20 リンク先情報を更新しました。