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立体商標及び平成26年改正

 立体形状を法的に知的財産として保護する仕組には、商標とは別に「意匠」という制度があり、工業製品の新規性・創作性を保護するために、形状・模様・色彩などのデザインを登録できる仕組になっています。
 意匠は、工業製品を権利として保護しようとするものですので、新規性・創作性が主に審査され、商標と違って周知性や識別性は問題になりません。

 商標は、個性的なアイデアでネーミングとして考案され、独占的に使用して商業的な利益につなげるところに意味があり、そのニーズから、平面の文字や図形などの記号だけでなく、立体的に商標を登録できたらもっと自由度が高まるという要求がありました。そこで、平成8年改正からは立体の商標が登録できるようになりました。
 この立体商標制度に基づいて登録された商標としては、フジヤの「ペコちゃんポコちゃん」、ケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース」、ヤクルトのプラ容器などがあり、変わったところでは、早稲田大学の構内にある「大隈重信像」も商標登録されているそうです。アメリカで登録されている著名な商標としては、コカコーラのボトルなどがあります。

 立体商標が登録できない場合として、他の物品と区別の付かないもの、ある商品の包装として不可欠な形状のものという条件があります。
 不可欠性の要件は、ややわかりにくいのですが、要するに、製品の包装としてどうしてもそのような形を取らなければ不合理であるというような汎用性のある形状のものを独占させてしまうと、製品そのものが作れなくなってしまうので、そうならないようにしましょうということです。ある特定の技術的な目標を達成するためとか、材料の性質上の理由からどうしても一定の形状が必要であるような場合にも、そこを商標で縛ってしまうと、技術や材料そのものが使えなくなってしまうので、そのような場合にも商標登録はできません。

 ヤクルトの容器やサントリーの角瓶など、単なる容器だからという理由で、商標登録が拒否された例があります。

 上記の例のように、すでに登録されているものの多くが、キャラクター人形の類であるのは、登録要件を満たしやすいからです。

 平成26年改正により、本年4月1日から、商標登録範囲が拡大されました。
 具体的には、法2条の定義が「この法律で「商標」とは、【人の知覚によつて認識することができるもののうち、】文字、図形、記号、立体的形状若しくは【色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「下「標章」という。)】であつて、次に掲げるものをいう。」と変わり、法5条2項各号が「一 商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであつて、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる商標、二 立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標(前号に掲げるものを除く。)、三 色彩のみからなる商標(第一号に掲げるものを除く。)、四 音からなる商標、五 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める商標(=位置商標 商標法施行規則4条の7)」と追加され、規則4条でそれぞれ、定義がされています(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、位置商標)。
 米国・オーストラリアでは登録可能な「におい、触感、味」は改正法後も日本では登録できません。欧州諸国でも現在は登録ができなくなっているそうです。


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