前回に続き、商標登録できないパターン「地名」「人の名前」です。
ご当地の名産品に地名を冠して商標登録したり、著名人にあやかって商品を売り出すというのはありがちな発想ですが、これもまた、登録拒否の可能性が高いパターンです。
外国地名では「ワイキキ」「ジョージア」などの登録拒否事例があります。「やんばる」「ほろはた」などが日本地名の登録拒否事例としてあります。それらがそうというわけではありませんが、誰もしらないような僻地の名称であっても、現に使われている限りは、登録できません。
人名や団体名なども、他人は勝手に商標登録できませんし、そもそも人の姓名は原則商標登録できないことになっています。自動車大手の「トヨタ」「スズキ」「ホンダ」は全部人名ですが、著名表示の独占的な使用が現にされていれば登録される例外があるので、それによるものです。これは法学理論的には、たいへんおもしろい現象です。一般化しすぎると普通名称だと言われて登録拒否されるのに、本来登録できない人名であっても、使用実績があり著名表示になっていれば商標登録して保護されるということです。
「月の友」事件、「自由学園」事件では、それぞれすでに当該団体があるという理由で、商標登録が拒否されています。
しかしながら、最近、地名を冠して売り出される商品が多いと思いませんか。上の説明と矛盾してて、おかしいですよね。
それらは、実は、平成18年4月1日から実施されている改正商標法に基づく「地域団体商標」の例がほとんどです。これは、地名を冠したご当地ブランドを保護する必要から、地名を冠する商標を事業協同組合や、特別法に基づく組合(漁協、農協など)に限って、比較的広く認める制度です。その第一号案件は、「関サバ」でした。
大阪では、次のような地名を冠した商標の登録があります。
大阪欄間・和泉木綿・泉州タオル・大阪泉州桐箪笥・大阪仏壇・泉州水なす・堺刃物・堺打刃物・泉だこ
地域団体商標は、その団体で独占するのではなく、その団体の組合員であればだれでも使えるという点がポイントです。そのような団体でない者が地名を冠する商標を申請しても原則通り拒否されることになります。
ある程度は現に周知されていなければ登録できませんが、全国的に知られていなくても近隣都府県にまで知られていれば、登録可能性はあります。
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