カテゴリー: 債務問題

  • 非免責債権かどうか-水道料金に関する覚え書き

     破産法253条1項は「破産債権」を原則免責とし,例外として免責されない破産債権を限定列挙しています(財団債権は免責されない)。
     水道料金債権がそのうち1項1号の「租税等の請求権」にあたるかどうか問題になります。
     破産法では,「租税等の請求権」を「国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(97条4号)」と定義していますので,問題は水道料金が,「国税徴収の例によって徴収できるかどうか」です。

     この点,水道料金は,地方自治法225条の「使用料」にあたりますので,同法231条の3の第3項に基づいて滞納処分が可能であるかのように見えます。しかし,同条に「法律に定める…」とあることから,法律上,強制徴収できるとされているものだけが同条の対象となります。
     同法附則6条には限定列挙として「下水道」料金が対象に含まれていますが,「上水道」は同条には記載されていません。また,水道事業の根拠法である「水道法」にも強制徴収に関する定めはありません(国民健康保険や介護保険などの根拠法には強制徴収を可能とする規定が入っています)。
     従って,上水道料金は,滞納処分が出来ず,国税徴収の例によって徴収出来ません。そのため,水道料金は,破産法上の非免責債権にはあたらず,破産手続開始決定前の滞納分については原則として免責されます。

     なお,水道・電気等の継続的給付の請求権については,料金算定期間と破産申立日との関係で,財団債権の拡張(破産法55条2項)がありますが,これによって,本来破産債権である部分(破産手続開始決定前の供給)についても、財団債権の扱いとなるため,例外的に拡張対象となる算定期間分については,非免責になると考えられます。

  • 債務整理に関する指針

     日弁連から、下記内容の指針が発表されています。
      債務整理事件処理に関する指針
     以前にも述べましたが、司法書士のみならず、弁護士のなかにも、過払い金だけを回収して、残りの債務関係を放置するような問題のある処理をする方がいるようで、このたびの指針となったものです。
     たとえば、直に面談しなくてはいけないとか、民事再生・法律扶助の利用希望などの意向を尊重しなくてはいけないとか、当たり前のことですが、注意されています。
     最近、信用情報機関の事故登録のことで問い合わせを受けました。
     一般論を言えば、弁護士介入であっても過払い示談で終了した場合は、「完済」情報の登録に速やかに変更すべきだと考えておりますが、現状ではそのようになっていません。
     これまであまり気にかけてこなかったのですが、ここまで失業・減収がでてくると、やむなく再び小口資金融資に頼らざるを得ないという方もあるのかもしれません。公的融資の拡大が望まれるところです。

  • 信用情報(いわゆるブラックリスト)について

     ブラックリストと呼ばれる一覧表をどこかの機関で管理しているということはありません。
     正しくは、信用情報という個人情報を収集している機関が、加盟店からの請求に応じて、対象となる人の債務に関する情報を提供しており、その情報のなかに、自己破産とか債務整理とか、延滞中とか完済とか、さまざまな内容が含まれています。
     詳しくは下記のサイトで調べてみてください。

    (株)日本信用情報機構(消費者金融系)
    http://www.jicc.co.jp/
    http://www.jicc.co.jp

    (株)CIC(信販・クレジット系)
    http://www.cic.co.jp/index.html

    全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
    http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/index.html#contents1