カテゴリー: 債務問題

  • 住宅金融支援機構の金融商品・融資制度

     とある会議で、融資担当者の方からいろいろ話を聞けました。

     金融商品については、「すまい・る債」があります。
     管理組合の修繕積立金の保全は重要関心事ですが、対策としては、
      1 ペイオフ対策として決済性預金にしたり複数の金融機関に普通預金を分散する。
      2 元本割れの危険のない定期預金にする
      3 安全性の高い国債・社債等に投資する
     というのがおもなもので、このうちすまい・る債は3番のオプションということです。

     10年満期で1年経過でいつでも解約できるそうです。
     今回募集の利率は約0.4%で、民間金融機関より若干高めの感じです。
     問題の安全性ですが、平成23年の総資産約33兆円で、発行債権総額が約13兆円ということですから、当面は問題ないレベルということでしょうか。S&P(スタンダードプアーズ)の発行体格付けでは、支援機構はAA-ということですので、投資証券としての安全性は比較的高いといえるでしょう。
     融資担当者は、解約手数料かからないこと、債券を機構が無料で保管預かりすることをアピールしていました。
     毎年1回の募集で、今年は10月11日締め切りだそうです。急げばまだ間に合いそうですね。

     また、マンション向け融資制度もかなり使いやすそうです。

     共用部分改修(長期修繕や耐震リフォームなど)のための融資制度です。
     条件さえ満たせば、給排水工事のうち専用部分の枝管工事の費用も含んで融資してくれるそうです。
     9月以降の金利は年1.3%で、マンション管理センターの保証料が0.5%かかりますが、それでも2%以内ですので、かなりリーズナブルといえるでしょう。
     管理組合法人でなくても利用可能で、審査は通常約2週間程度、管理組合の決議と理事長実印があれば決裁出来ます。

     おもしろいのは、60歳以上向けの返済特例制度です。普通の融資と違って、年齢制限が上向きに設定されているということです。
     これは、いわゆるリバース・モーゲージではありませんが、融資元金は債務者が亡くなったときに一括返済すればよく、弁済は利息のみという取扱がされるものです。
     たとえば、借りた人が亡くなったとき、保証人である高齢者住宅財団が代位弁済を実行し、相続人は、その家を相続して残元金を一括弁済するか、相続を放棄して、競売してもらうかを選びます。
     相続したのに一括弁済ができない場合は、抵当権が実行され、相続人に残債務の支払い義務があることには注意が必要です。
     また、元金部分の返済が猶予されるということは、高い金利を払い続けることになる可能性もあるということなので、そのあたりの判断は慎重にする必要があります。

     くわしくは、住宅金融支援機構のサイトをご覧下さい。

  • 債務整理事件処理の報酬制限4月1日から

     このたび、日弁連では、債務整理事件の報酬に上限を設ける規則を作り、今年の4月1日から実施することになりました。
     その内容は、着手金には制限がなく、報酬について、
      1社あたり2万円(商工ローンは5万円)以下
      減額報酬 10%以下
      過払金報酬 訴訟によらないとき20%以下、訴訟によるとき25%以下
     となっています。

     ちなみに、大阪弁護士会では、かなり以前から、相談センター経由での受任の場合には、
      着手金 1社あたり2万円(最低5万円、上限75万円)
      支払い示談報酬 一括の場合10%以下、 分割の場合5%以下
      減額報酬 10%以下
      過払金報酬 訴訟いかんにかかわらず20%以下
    という基準で動いていました。当職もおおむねこれに倣っていました。

     さらに、当職が、相談センターでの受任審査をしていた経験からすると、
      着手金 1社ごとに2万円
      (最低2万円、弁護士会基準上限が問題になるような案件はほとんどない)
      示談報酬 5%~10%
      減額報酬 なし~10%
      過払金報酬 10%~20%
    というのが相場でした。

     また、最近のトレンドは、
      着手金なし (ただし、従来の着手金相当額を報酬に上乗せして請求)
      減額報酬なし
      過払金報酬 10~30%
     というように、着手金をなくしたり、減額報酬を取らないというような方向性になっています。
     もし、相談先で、減額報酬を請求したり、報酬を2割以上要求されたりしたときは、弁護士会で別のところを紹介をしてもらったほうが、安く上がる可能性があります。

     以上は、弁護士限定の話です。
     司法書士さんには、今回の規制は及びませんので、司法書士さんの請求はいままでどおり自由です。こちらはいろいろなケースがあるようですが、当職の依頼者を通じて聞く限り、概して大阪の弁護士よりも高いように思えます。

     ちなみに、弁護士の場合には、金額に制限なく訴訟代理権があるので、140万円を超えても、本人の代わりに裁判所に出廷できますが、司法書士さんの場合には、その金額を超えると訴訟代理権がないので、どうしても訴訟の必要がある場合は本人に出廷してもらわなければなりません。過払いが高額になりそうなときは司法書士よりも弁護士へ依頼したほうが楽で安上がりだと思います。

     弁護士の中にも報酬30%を提示する人がいますが、4月1日以降はそのような提示ができなくなります。
     さらに、悪質な弁護士・司法書士にひっかかると、過払いになる部分だけを引き受けて、支払いが残る分をそのままにしていたり、過払いが少なくて報酬が期待できないケースを、「弁護士会へ行け」といって、追い返してしまうという事案がありますので、注意してください。

     そうして、そんな利益にならない案件は、弁護士会の法律相談を公益活動の一つと割り切って担当しているような、古き良き弁護士や、売上の少ない新人弁護士ががんばって対応しています。
     今回の規制は、弁護士に受任義務まで課していませんので、一部の弁護士や司法書士が、そんな弁護士たちの犠牲の上に、事件あさりをする構図は、今後も続くと思われます。
     悪徳士業には、くれぐれもご用心ください。

     

  • 最近の当サイト検索履歴について

    最近、水道料金債権(債務)の破産法上の取り扱いについて調べている方が多いようですね。
    自治体の職員の方から直接電話で質問を受けたこともあります。
    申立から終結まではだいたいどの弁護士でもフォローしますが、終結後や免責関係の取り扱いには、あまり関与していない弁護士が多いのではないでしょうか。
    実務上も、あまり重大な問題にならない(破産者が債権の時効期間中に経済的に立ち直ることはあまりない)ので、ほとんどケアしてこなかったのですが、理屈としては、一応の回答があるものです。
    当サイトの記事をご覧になった方で、それは違うぞとか、参考になったとか、ご意見がございましたらお寄せいただけると、大変ありがたく存じます。