投稿者: YamanouchiKatsura

  • BioDigitalの参考データ作成、結構重かった件

    前回の投稿で、BioDigitalの紹介をしましたが、どんなもんかということで、大腿動脈から内頚動脈までを選択着色させて、外から血管走行を眺められるように、ある程度の組織をカットした解剖図を作ってみました。血管内治療でのカテーテル走行経路になります。


    ちなみに、3Dのデータ量がかなりあって、表示の遅いPCでは、全部表示されるまでに結構時間がかかります。
    また、表示されたものは、マウスで拡大移動回転できますが、これもまた、表示の遅いPCでは、再描画に時間がかかります。

    画像制作はかの有名な謎の巨大企業(参照記事)NVIDIAのGTX1080搭載PCでやったのですが、別PCから表示させて、重さに気づきました。
    万一表示させてみて、フリーズっぽくなっても、そのまま放置しているとやがて描画されます。

    3Dをサクサク扱うには、PCの性能が必要なので、新たに購入される場合のおすすめとしては、BTOで20万円以上の価格のものになります。
    PCの技術革新は相も変わらず猛烈に進んでいて、製品ごとのコストパフォーマンスに大きなばらつきが出ています。間違って、性能の低い安物PCに手を出さないよう、くれぐれもご注意ください。

    そうそう、そんなことで思い出すのが、どこかのネット記事で、貧困問題を扱っていて、子供にパソコンを買ってやれないので、キーボードだけ買って練習させたというエピソードを読んだこと。
    ちょっとした知識があれば、そこそこ使い物になる中古品が数千円で買える現状にあるにも関わらず、そういう情報に到達できないというのが、別の意味での貧困なんだなあと。

  • 医療リンク更新

    年末ころから、立て続けにいろいろと複雑な案件が重なってきて、なかなか首が回らない状態になってしまっています。
    最近、WEB経由の相談案件が増えつつあるため、こちらのサイトにも、手を入れたいのですが、時間がなく、お茶を濁すため、医療事件検討過程の副産物で、リンクを更新しました。

    BioDigital
    Web上で、男女別の解剖が簡単に閲覧できます。大変おすすめです。

    3DとかAR,VRとか、医療の世界で当然のように活用され始めているようですね。

    民事裁判の立証局面では、いまだに2D静止画が主役なんですが、法律関係にあっても、3Dの活用を考えていく必要があると感じます。

    まあ、上に紹介しているサイトは、人体に関心のある方なら理屈抜きに面白いので、いちど試してみてください。

  • 9月24日 全国一斉公益通報110番

     来る9月24日、弁護士会では、公益通報・内部告発等に関する全国一斉電話相談を実施します。
     勤務先や取引先で行われている違法行為や不正の内部告発・公益通報をお考えの方、告発・通報を行ったことで被害を受けている方のための電話相談です。詳しくは、日弁連WEBで!

    本日、大阪弁護士会の司法記者向け広報で、案内をさせていただきました。
    組織内部の不正で心を痛めている方にとって、何らかの救いになることを願っています。

    若干、お話ししたことの要旨を補足しておきます。

    まず、公益通報者保護法制定来の経緯については次の通りです。
     平成16年6月 公益通報者法保護法制定
     平成18年4月 同施行
     平成23年2月 公益通報者保護専門調査会とりまとめ
     平成25年6月 公益通報者保護制度に関する実態調査報告書(消費者庁)
     平成28年3月 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会第一次報告
     現況 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会ワーキング・グループ

     本来、施行後5年で見直しをするはずでしたが、専門調査会とりまとめでは、法改正を要する具体的な状況に至っているかどうか、さらに調査が必要とのことで、法改正なりませんでした。その後、消費者庁により、実態調査や当事者ヒアリングがなされ、現時点では、学者・弁護士を中心とするワーキンググループにより、改正案の検討がされている状況です。

     弁護士会の立場は、「公益通報 弁護士会 意見書」で検索していただければ、いくつかの意見書や会長声明がヒットしますので、そちらをご参照ください。要するに、多くの点で現行法の改正が必要であるとの意見です。

     公益通報者保護法施行来、たくさんの内部告発事件がありました。そのうち、通報者が不利益取り扱いを受けた主な案件には、次のようなものがあります。
     平成18年4月 大阪トヨペット事件
     平成19年6月 オリンパス浜田事件、神戸司法書士事件
     平成20年1月 ピーエス三菱・北野建設共同企業体事件
     平成20年10月 島根自治労自動車共済不正事件
     平成22年9月 高松・金属工場不正事件
     平成22年12月 千葉県がんセンター事件
     平成24年3月 秋田書店事件

     問題は、それらの通報案件で、通報者は、通報後に様々な不利益取り扱いを受けてきていながら、公益通報者保護法が直接的に役に立った事案は皆無といってよく、通報者は告発後に所属する組織の攻撃から身を守り、権利を回復するための困難かつ長期の戦いを強いられている現状にあることです。
     消費者の生命身体財産を守るために組織内の不正をただそうとした正義の人がここまで虐げられていいのかと、日ごろ相談を受ける立場として切に思います。

     9月24日は全国一斉一回限りの電話相談ですが、大阪弁護士会では、毎週月曜日の正午から午後2時まで、電話相談を実施しています。
     弁護士や組織の内部窓口以外(監督官庁やマスコミ)に通報内容を含む相談をしてしまうと、公益通報者保護法による保護が受けられない(それ自体が大きな問題ではあるのですが)危険が出てきます。
     内部通報をお考えの方は、通報前にどのようなことに気を付ければいいのか、また、通報後に不利益取り扱いを受けている場合、どのように対処したらいいのか、まずは弁護士の話を聞いてみてください。