(意味)
「内容証明郵便」とは、相手に送付した郵便の控えを郵便局が保管することにより、「誰が・いつ・誰に・どんな内容の文書を送付したのか」を公に証明できるというしくみです。
通常は、これに「配達証明」を付けて、「その文書がいつ相手にとどいたのか」まで証明してもらいます。内容証明と配達証明をあわせて「ナイハイ」と言っています。
(目的)
内容証明の目的は、相手方に対する「意思表示」の事実を公に証明できる状態にすることにより、後日の紛争を避けたり、権利を確保したりすることです。
内容証明で「~を支払え」と請求されても、それ自体には何の強制力もありません。内容証明がきたらすぐに払わないと大変なことになると思っている人が結構多いようですが、そんなことはありません。なんらかの内容証明を受け取ったら、慌てず騒がず、まず弁護士へご相談ください。
(用意するもの)
A4の紙 必要枚数×3
封筒 1通
郵便代金 必要額(後記)
筆記用具(エンピツは不可です)またはワープロ
印鑑(三文判で結構です)
大きな書店・文具店では、内容証明のセットが販売されていますので、それを使うのも便利ですが、別にどんな紙でも封筒でもよいのです。鉛筆書きは不可ですが、ワープロ打ちはかまいません。
修正液等は使えません。筆記よりも、ワープロで作成されることをお薦めします。
(書き方)
A4の用紙を縦に使って、横20文字、縦26行で記載してください。この字数制限は必ず守ってください。なお、文字には句読点も含みますので、ワープロをお使いの場合には、禁則処理をしないでください。
綴じ代として左側に3cmほど余白を残しておくと、いざ裁判になったときの資料として美しく提出できます。
複数枚になる場合には、差出人名の契印(用紙のつづり目に渡って押印すること)が必要です。
封筒には前もって差出人と宛名の両方を記載しておきます。これは本文の末尾に記載した差出人・宛名と一致していていなければなりません。
書く内容は弁護士に相談し、過不足ないように書くのがスマートです。あまりにも素人的な文章だと、相手から侮られることがありますし、最悪の場合、せっかく出したのに意図した効果が発生しないなんてことにもなりかねません。
(出し方)
集配をしている大きな郵便局でないと受け付けてくれません。
窓口へ封筒1通と本文の同文3通を持参し、「ナイハイで!」と言って差し出します。
すると、局員が文字数制限を守っているか、押印はあるか、差出人・受取人宛名は本文と封筒で一致しているか、などをチェックしたうえ、受付印を押して、本文1通を返してくれます。場合によっては、封筒と本文2通を返される場合がありますが、これは自分で封筒に入れてくれという意味ですから、封筒のなかに本文1通を入れて封をして再び窓口へ渡します。結局手元に必ず本文1通が残り、封筒に入った1通が相手へ届き、残る1通が郵便局で保管されることになります。
(費用)
内容証明郵便のみだと用紙1枚で920円、用紙が1枚追加されるごとに、250円がかかります。配達証明をつけると、300円かかります。
なお、弁護士に内容証明の作成を依頼する場合の基本料金は、本人名義で出す場合は1~3万円、弁護士が代理人名で出す場合には3~5万円です。
但し、訴訟事件や示談事件の依頼を受けた弁護士がその事件の処理に関連して内容証明を作成する場合には、別料金をとらないことのほうが多いと思いますので、内容証明の作成のみを依頼するのは、かえって高コストになるでしょう。
Leave a Reply