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  • 9月24日 全国一斉公益通報110番

     来る9月24日、弁護士会では、公益通報・内部告発等に関する全国一斉電話相談を実施します。
     勤務先や取引先で行われている違法行為や不正の内部告発・公益通報をお考えの方、告発・通報を行ったことで被害を受けている方のための電話相談です。詳しくは、日弁連WEBで!

    本日、大阪弁護士会の司法記者向け広報で、案内をさせていただきました。
    組織内部の不正で心を痛めている方にとって、何らかの救いになることを願っています。

    若干、お話ししたことの要旨を補足しておきます。

    まず、公益通報者保護法制定来の経緯については次の通りです。
     平成16年6月 公益通報者法保護法制定
     平成18年4月 同施行
     平成23年2月 公益通報者保護専門調査会とりまとめ
     平成25年6月 公益通報者保護制度に関する実態調査報告書(消費者庁)
     平成28年3月 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会第一次報告
     現況 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会ワーキング・グループ

     本来、施行後5年で見直しをするはずでしたが、専門調査会とりまとめでは、法改正を要する具体的な状況に至っているかどうか、さらに調査が必要とのことで、法改正なりませんでした。その後、消費者庁により、実態調査や当事者ヒアリングがなされ、現時点では、学者・弁護士を中心とするワーキンググループにより、改正案の検討がされている状況です。

     弁護士会の立場は、「公益通報 弁護士会 意見書」で検索していただければ、いくつかの意見書や会長声明がヒットしますので、そちらをご参照ください。要するに、多くの点で現行法の改正が必要であるとの意見です。

     公益通報者保護法施行来、たくさんの内部告発事件がありました。そのうち、通報者が不利益取り扱いを受けた主な案件には、次のようなものがあります。
     平成18年4月 大阪トヨペット事件
     平成19年6月 オリンパス浜田事件、神戸司法書士事件
     平成20年1月 ピーエス三菱・北野建設共同企業体事件
     平成20年10月 島根自治労自動車共済不正事件
     平成22年9月 高松・金属工場不正事件
     平成22年12月 千葉県がんセンター事件
     平成24年3月 秋田書店事件

     問題は、それらの通報案件で、通報者は、通報後に様々な不利益取り扱いを受けてきていながら、公益通報者保護法が直接的に役に立った事案は皆無といってよく、通報者は告発後に所属する組織の攻撃から身を守り、権利を回復するための困難かつ長期の戦いを強いられている現状にあることです。
     消費者の生命身体財産を守るために組織内の不正をただそうとした正義の人がここまで虐げられていいのかと、日ごろ相談を受ける立場として切に思います。

     9月24日は全国一斉一回限りの電話相談ですが、大阪弁護士会では、毎週月曜日の正午から午後2時まで、電話相談を実施しています。
     弁護士や組織の内部窓口以外(監督官庁やマスコミ)に通報内容を含む相談をしてしまうと、公益通報者保護法による保護が受けられない(それ自体が大きな問題ではあるのですが)危険が出てきます。
     内部通報をお考えの方は、通報前にどのようなことに気を付ければいいのか、また、通報後に不利益取り扱いを受けている場合、どのように対処したらいいのか、まずは弁護士の話を聞いてみてください。

  • e内容証明、マシになったよー、、、って言いたかった。

    ずいぶん前に、電子内容証明が使えない って話をして、JapanPost先輩のことをけなしてました。
    それから、システムがWeb化されて、ずいぶん使いやすくなったなあって思ってましたら、再び悲報です。

    というのも、なぜかファイルローダーがWord2013までしか対応してなくて、私のようなOffice365で常に最新officeにしているPCオタクにとって、またもや古いシステムでしか使えない不便な代物になってるんですわ。

    推測するに、レンダリングを単純化するために、対応ソフトを限定してるんだろうけども、バージョンまで限定っていうのはどうにも手抜きすぎ。つか、特定の有償ソフトを使わないと電子内容証明送れないってのは、いまどきあり得なくないですか。

    内容証明表現では、どうせワープロ系ソフトの装飾機能は、ほとんど制限されるんだから、いっそのこと、テキスト編集もWebソフトの技術で実装してほしかった。
    それならテキストコピペ>編集>送信の流れが全部ブラウザで済むもんね。

    定型書式のひな型をダウンロードさせて、それをまた読ませるってのは、なんすか。それ、そっちでは流行ってるんすか。

    惜しいです。JP先輩。
    ・・・MSからなんかもらってるんすかね? それならしょうがないけど。

  • 商標権者の不正使用による取り消しと予防法務

     民事法の世界では、「権利の上に眠るものを保護しない」という言葉(古くから言われているこのような法律的な言い回しを「法諺(ほうげん)」といいます)があります。これは例えば「消滅時効」とか、「不使用取消」などが依拠する基本的な発想です。今回は、商標法に見られる「クリーンハンズの原則」について説明します。

     クリーンハンズとは、「きれいな手」という意味です。つまり、法律の保護を受けようとする者は、自分自身が法律の保護を受けるに値する清廉潔白さをもっていなければならないとする基本的発想です。民法で有名なのは、「不法原因給付(民708条本文)」です。不法な原因(たとえば不倫の見返りとして金品を供与したり、賭博の掛け金を払ったり、出資法違反の高金利を取るために金を貸したりするようなこと)で相手に金品を渡したときは、原因になる契約が公序良俗違反で無効(民法90条)であっても、金品の返還を求めることができないという制度です。つまり、自らが違法な行為で無効の原因を作っていながら、その無効を理由に相手に返還を求めるというのは身勝手であり、法律では助けてあげませんよということです。

     商標法で、このクリーンハンズが強く現れているのが、商標権者の商標不正使用取消(同法51条1項)という仕組みです。
     商標権者であっても、他人の商標を故意に侵害するために自己の商標に類似した商標を使った場合には、類似の元になるもともとの登録商標も登録を取り消されるという制裁的な制度です。さらに、一度取り消されると5年間その商標範囲の出願は受け付けられないという厳しい内容になっています。
     実例で著名なのが「アフタヌーンティ事件」です。特許庁は商標権を取り消しませんでしたが、東京高裁は特許庁と逆の判断をして取り消しました。

     それと別に、使用権者の不正使用取消(53条1項)という仕組みもあります。これは、商標権者自身でなく、使用許諾を受けた者が、他人の商標を侵害する類似商標を使った場合、もともとの商標登録を取り消すというさらに怖い制度です。そのため、商標権者は、商標許諾時には、厳重に契約で縛っておかないと、大変な不利益を被る可能性があるので注意が必要です。
     この実例で有名なのが、「ミネフード事件」です。これは商標権者の商標を第三者に使用許諾したところ、その第三者が勝手に商標の一部分だけを取り出して使っていたら、呼び名が似た商品を売っていた別の会社から訴えられたという事件です。これも特許庁では取り消されなかったのですが、東京高裁では取り消されるべきとされました。

     日本のビジネス界では、契約の拘束力に対する意識が低いのですが、紛争になった場合、契約書の記述は重要です。たとえば上記のような紛争の場合、商標改変使用の禁止と違反時の損害賠償予約・違約罰条項等を使用許諾契約に入れておくことで、ある程度の対策になります。そのあたりのことを押さえておかないと、他人の不始末のせいで、大きな損害を被る羽目になりかねません。商標権に限らず、契約書一般について、予防的観点からのチェックを平素より怠らないようにするとよいでしょう。